【連載】元書店員の本屋の話[6冊目]

元書店員の本屋の話

今回は書店員をしていた頃の書店事情についてのお話です。

堅苦しいような書き方しても面白くはありませんし、私にそんなことは出来ませんので、

ざっくばらんに時にはおちゃらけながら当時の事を書いていこうと思います。

出版社の皆さま、著者の皆さまをはじめ、書店に興味ある方に

書店のことを少しでも知っていただければ幸いです。

さて、第6回のテーマはこちらになります。

本日のテーマ

コンビニ化する書店をどう考える?

1.情報があるからこその現状

2.売れる本+売れる本≠売れるコーナー

3.そしてみんなが同じことをする、コンビニ化する

4.コンビニ化した書店を必要としている書店もある

連載一覧

【1冊目】書店の朝は雑誌と戦うお仕事

【2冊目】思い描いた売り場を作る -注文編-

【3冊目】思い描いた売り場を作る -品出し編-

【4冊目】フェアで売場を華やかにする

【5冊目】束の間の別れ、返本作業

・【6冊目】コンビニ化する書店をどう考える?

【7冊目】コンビニ化しない為に抗ったこと

ご注意

  • 当記事は過去に私が書店で経験した内容になります。
    全国の書店がここに書かれていることと同じとは限りません。

  • 出版業界の情勢上、批判的なことを書くこともありますが、
    他の書店や書店員を否定・貶める意図はございません。

  • 以上をご理解の上、数ある情報のひとつとしてお読みくださいませ。

コンビニ化する書店をどう考える?

1.情報があるからこその現状

当たり前ですが、本屋は本をたくさん売って多くの利益を得て会社を成長させたいです。

では、どうすれば本をたくさん売ることが出来るか?

これに対して書店は「売れている本を置く」と考えます。

では、売れる本はどうやって選定すれば良いでしょうか?

これに対して書店は「ランキング上位の本を置く」と考えます。

「ランキング上位の本を置く」というのは理論上、これ以上ない最高の策です。

そしてランキング入りしている本、売れている本は今の時代簡単に調べることが出来ます。

日販等の取次やAmazon、あちこちのサイトで調べれば情報はいくらでも出てきますから。

後はそれを元に上から順に適当なところまで頼んで売場に置けば

「本がたくさん売れる売場」が完成します。

この「ランキング上位の本を置く」というのは本当に簡単なんです。

お金持ちのおじ様のように「ここからここまでくれ」と言えばいいだけです。

目次も、中身も、装丁も、ページ数など

本を売る為に必要な情報を読まなくていいし、考えなくてもいいんです。

会社の偉い人や取次はこの方法をとてもやらせたがります。

「店の売上が悪いのはラインナップが悪いからだ!」としか考えられないんだと思います。

2.売れる本+売れる本≠売れるコーナー

趣味の多様化により本が売れなくなっている時代がずっと続いていますが、

書店員はそれでも「どうにかこうにかして売り上げを上げろ」と言われます。

この難題に書店員はとても悩みます。

売れない理由は本以外の所が大多数なのに、本で解決しないといけないのですから。

これを解決する為に出てくるのが理論上の最高策「ランキング上位の本を置く」です。

ランキングによって整えた売場は一見して「本がたくさん売れる売場」のように見えますが、

「本がたくさん売れる売場」には絶対になり得ません。

何故か?

話は一度算数の話題に変わりますが、3+3はいくつでしょうか?

もちろんこれは6です。

では、三角形+三角形は何角形でしょうか?

答えは六角形…ではありません。

三角形、もしくは四角形です、間違っても六角形とはなりません。

つまりはこういうことで、こちらが3+3の売場を作っても売上は6にならないんです。

すなわち「売れる本+売れる本≠売れるコーナー」なのです。

これは本当に不思議なもので、本に限らず何故か売れるものと売れるものを併せて置くと

売れるものが売れなくなるんです。

もちろん相乗効果で売れる場合もありますが、

少なくとも「ここからここまでくれ」と注文した本を並べただけの売場に

相乗効果なんて生まれるはずがありません。生まれたとしたら偶然です。

3.そしてみんなが同じことをした結果、コンビニ化する

この手法を現代を生きるあちこちの書店がやっています、やらされています。

その結果、タイトル通り書店がコンビニ化します。

コンビニ化した書店はどうなるのかというと、

「あそこの本屋のビジネスコーナーは癖があって面白いんだよな」

「ここの本屋の料理コーナーは私好みなんだよね」

こういうことが無くなるわけですから、ラインナップが無個性化します。

無個性化するとどういうことになるか?

「Amazonでランキング眺めてるのと一緒じゃない?
出かけて探さなくていいし、届けてもくれるし、楽じゃん」

ということになるわけです。

幸い、都合のいい言い訳もあります。

ランキング上位の本を置いて「本がたくさん売れる売場」を作って、

売り上げが伸び悩んだとしても

「出版業界は退潮してるからしょうがないよね」って言えばいいだけですから。

なお余談ですが出版業界において「出版業界は退潮して大変だ」という類いの言葉は

挨拶代わりのようにものすごく頻繁に使われます。

4.コンビニ化した書店を必要としている書店もある

ここまで「コンビニ化する書店ってどうなのよ?」というような事を書いてきましたが、

逆にコンビニ化した書店を必要としている書店もあります。

それは「改札口構内」にある書店です。

改札口構内にある書店は基本的に長居する場所ではありません。

さっと買ってさっと電車に乗りたいですから。

「流行の本、人気の本、売れてる本をちゃちゃっと知りたい、欲しい」

そういうものが求められているところですので、

ランキング上位の本を扱っている書店というのはとてもマッチします。

編集後記

第6回の今回は「コンビニ化する書店」について書きました。

皆さまはどうお考えでしょうか。

私個人的には人間味溢れる書店員の意向が爆発してる書店が見たいです。

さて、次回は「コンビニ化しない為に抗ったこと」について扱います。

よろしければ、次回もお付き合いください。

ご覧いただきありがとうございました。

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