Amazonで変なもの売ってる
変なものを探すのは楽しい。
ぶっ飛んだものを見つけた時の心の躍り具合は最高の気分である。
ヴィレッジヴァンガードに行く理由は変なものを買いに行く為と言っても過言ではない。
…否、少し過言かもしれない。
でも、そうじゃない。
谷山浩子ワールド全開
2014年の8月、谷山浩子女史が『Amazonで変なもの売ってる』という小説を発売した。
『Amazonで変なもの売ってる』、内容を説明してくれと言われると言葉が出てこない。
断片的なワードでアバウトな説明しか出来ないのだ。
本を良く読むか?と聞かれると答えはNoである。私はあまり読まない。
私は本を読む行為より、面白そうな本を集める行為が好きなのだ。
しかしながら三十数年と生きてきてそれなりに本は読んできた。
この本は「説明しづらさ」という意味ではトップに君臨する。
まったく余談だが、谷山浩子女史は2010年に『悲しみの時計少女』という本を発売している。
冒頭数ページで主人公が身体の半分が時計の女と出会うという
これまたぶっ飛んだ内容となっている。
こちらは途中で投げてしまったのでいずれちゃんと読み終えたい。
ミカルが普通のアールグレイを飲み干すまでの物語
さて、Amazonである。
Amazonで変なものを売ってる話をしよう。
前述通り、説明が出来ない本である。
しかし、それでも、この本についてコラムを書いている以上、説明しなければ。
ミカルとハルルは姉妹である。
ある日Amazonで変なものを見つけ、購入する。
そこから姉妹は様々な不思議な出来事に巻き込まれる。
「…言うほどか?説明出来てるじゃん」
「無難に楽しめそうな本じゃないか」
そう思ったら最後、谷山浩子女史の罠にかかってしまっている。
最終話の副題であり、これ以上でも、これ以下でもないのだが、
この本、この物語は、ミカルが普通のアールグレイを飲み干すまでの物語である。
しかし、普通のアールグレイを飲み干すに至るまでの過程が全くわからない。
よく分からない世界に行ったり、
鳥かごの中に閉じ込められたり、
携帯電話をジャラジャラさせたり、
泡になったりした果てにアールグレイを飲み干すのだ。
私自身、何を書いているのかわからないが、
事実なのだから仕方ない。事実だから困る。
↓ ネタバレを含んだ私の見解 ↓
…と、あくまでアールグレイがゴールであるように書いてきたが、
この物語、本当の主人公は父親では無いだろうか。
父が在りし日の家族達との夢を見ている…というような解釈を私はした。
しかしながら、最終的に父の居ない世界線で物語冒頭に戻っていると読み取れるので
全てに説明が付くとはこれっぽっちも思っていない。
↑ ここまで ↑
良く言えば、哲学書である。
物語の結末などそんなのは些細な問題なのだ。
何故こういう結末になったんだ?と読者同士で意見を交わす事に意味がある。
実際、私は語り合いたくて知人に勧めた、読んでもらった、語り合った。
意図的にそうした感じもするが、悪く言えばデウス・エクス・マキナ。
編集後記
読了後「あぁー、面白かった!」と快感が駆け抜けるような本では全く無い。
どちらかと言うと読んだ後この世の理のようなものに触れて頭の中が「?????」となる。
今まで悩む必要の無かったものに悩まされる。
その悩んでる時間に私は快感を覚えてしまう人種なわけでして。